Pixel Watchレビュー。改善点が多く今後に期待

Google初のスマートウォッチ、Pixel Watchを購入し約1ヶ月使用してきました。最初は見た目が最高に良く、とても気に入って使用していました。ただ実際使用しているうちに良い点もあれば悪い点もわかってきたのでレビューしていきたいと思います。
Pixel Watchを購入するべきかどうか迷っている人の参考になると幸いです。

美しく見た目は良いが、小さく見づらいディスプレイ

Pixel Watchは本体がドーム形状なことに加えて、湾曲した3Dラウンドエッジディスプレイが側面までを覆うという、他の製品には見られない珍しいデザインになっています。これが非常に美しく、腕時計として見ればかなり見栄えが良いです。

デザインが美しいのはいいですが、側面にキズがついたり何かにぶつけた際の破損が怖いです。最初は何も付けずに使用していたものの、結局今はケースを装着して使用しています。

ディスプレイの直径は1.2インチと、Galaxy Watchの1.4インチやApple Watchの1.92インチなどに比べると小型です。これは本体サイズがそこまで大きくないのもありますが、ベゼル部分が太いのも原因です。ベゼル部部が細くなれば、本体サイズを変えずともディスプレイの大型化は十分可能だと思います。

メインとなる盤面ですが、Pixel Watch標準のテーマはデザインが工夫されているので実際のディスプレイサイズより大きく見えるようになっています。また、Fitbitアプリの睡眠時間や歩数の確認画面などもUIが工夫されて見やすいです。
デフォルトで搭載されているアプリの利用や時計として使うだけならディスプレイサイズの小ささは気にならないです。

しかし問題なのが通知の確認やアプリの使用時です。ディスプレイが小さいのでそもそもの情報量が少ないことに加え、形状が円形のため表示の端が切れてしまうことがよくあります。文字入力もできますが、操作領域の小さなこのディスプレイで文字を打つ気にはなりません。

そこでフォントサイズを最小にするという工夫もしたのですが、そこまで情報量は増えないことに加えて文字が見づらくなるという結果になり、「これって意味ある?」と思ったので標準サイズに戻してしまいました。

パフォーマンスは非常にサクサク

Pixel WatchにはSamsungのExynos 9110というSoCが搭載されてます。このSoCはGalaxy Watch 3などに搭載されているもので、数世代前の型落ちとなります。そのため最新のSoCと比べると処理性能や省電力性に劣っていることは間違いないです。

しかしPixel Watchを1ヶ月ほど使用し続けていましたが、画面遷移やアプリの起動時における動作のもたつきは見られず非常にサクサクでした。型落ちのSoCを搭載しているから動作が遅いなんてことはなく、非常に快適に使えます。

電池持ちは微妙

ただ問題なのが電池持ちです。先程SoCが型落ちなので省電力性が劣っていると言いましたが、やはりそれも影響しているのか設定によっては微妙なのは確かです。

夜に充電を行い、「おやすみモード」に切り替えて就寝し、起床後に「傾けて画面をオン」を有効にして1日使った後の残量がこちらになります。

この日は外出をしており、通知を受け取れるようにスマホと接続した状態で使用しました。GPSを利用したマップやエクササイズ計測は全く利用していません。この状態では夕方に50%となっていました。1日使うのであれば十分持つと思いますが、アプリを多用したり、2日使うとなると途中で電池切れになってしまいそうなので、やはり1日1回は充電しておきたいところです。

また、常時点灯をオンにした状態ですと同じ使い方をしても夕方には20%になってしまったので、この機能はあまり使わないほうがいいと思います。

Pixel Watchは充電速度もそこまで遅くないです。30分で約50%、50分で80%まで充電が可能です。もし就寝前にPixel Watchを充電することを忘れていても、起きてすぐに充電を開始すれば家を出る前までには間に合うかもしれません。

発売当初はQi充電器やリバースチャージに対応したスマホの上にPixel Watch置くと、充電時の表示がされることが話題になりましたが、実際には充電されることはなくPixel Watchの充電には専用のケーブルしか対応していないので残念です。Pixel Watchは初代ということもあり、サードパーティー製の充電器の選択肢は全く無いです。
なので専用ケーブルは絶対無くさないように気を付けるのと、旅行の際には荷物に入れるのを忘れないようにしましょう。

Fitbitによるアクティビティ計測

Pixel Watchの心拍計測や歩数計測、睡眠計測などのアクティビティ記録にはGoogleが買収したFitbitの技術が使われており、記録の確認にもFitbitのアプリを利用します。Google Fitアプリもありますが連携はできず、基本的にはFitbitアプリを利用する形です。

しかし、Fitbitアプリの全ての機能を利用するには年間で6,400円かかるFitbit Premiumへの加入が必須です。健康を気にしている人ならまだしも、20代かつ運動をほとんどしない筆者にはそこまでして全ての機能を利用するメリットはないので、Pixel Watch購入特典の6ヶ月無料期間が終了したら定期購入はせずに制限された状態で使用する予定です。

あと、Pixel Watchは40種類のアクティビティ計測に対応しています。よほどマイナーなものでない限りは網羅されています。GPSをによる記録にも対応しているので、ウォーキングやサイクリングのルート記録もできます。

心拍数、消費カロリー記録も自分で起動しなくても自動で行ってくれ、ランニングやウォーキングといった感じで勝手にカテゴリ分けもしてくれるので楽でいいですね。

Suicaに対応だが決済手段は少ない

Pixel WatchはFelicaを搭載し、モバイルSuicaでの決済に対応しています。しかし利用できるのはモバイルSuicaのみで、定期券やSuicaグリーン券などの機能が使えないなどの制限があり、まだまだ未完成な状態です。とはいえスマートウォッチでSuicaが利用できるというのは嬉しいですね。

実際にPixel WatchでSuicaを利用してみて、右手に巻いている状態であればスマホを出さずに改札を通ることができるというのは非常に便利だと思いました。しかし改札にタッチするのが少し難しいですね。スマホやSuicaは手に持った状態でタッチするので手首で細かく位置を調整できますが、腕に巻いたPixel Watchでは肘をうまく動かさないといけないので、距離が遠くてタッチに失敗することや逆に近すぎてディスプレイをぶつけてしまうことがあり、やりづらいです。

Pixel Watchに追加したSuicaはPixel Watch上では残高の確認ができるだけで、残高のチャージなどの管理はPixel Watchアプリで行うようになっているので、使い勝手は良くないです。

ただし、Pixel Watchに登録したSuicaでも扱いはモバイルSuicaと同じなのでJREポイントに紐づけしてポイントを貯めることが可能でした。

また、NFCを利用した決済にも対応しています。筆者はSonyBankWalletのカードを追加してVisaタッチを利用できるようにしています。

初代にしては高い完成度。しかし改善点は多い

1ヶ月以上にわたってPixel Wachを利用してきました。もともとは購入するつもりはありませんでしたがGoogle初のスマートウォッチということで少し興味がありました。

最初はワクワクして使用していましたが、使っていくうちに電池持ちが微妙だったりSuicaに対応したものの他の電子マネーには非対応だったり、Google Fitアプリで利用できないという残念なポイントが徐々に見えてきました。
腕時計として使用するには電池持ちがイマイチ、スマートウォッチとしては機能が不完全で、Pixel Watchをスマートウォッチとしておすすめできるものではないと思います。

今後のアップデート、次のモデルに期待

今のところPixel Watchは悪いところばかりではありますが、今後に期待できることも確かです。2023年3月のアップデートが提供され、LTEモデルでは親回線なしの単体でのeSIM登録が可能になりました。これによってeSIMを提供しているpovoや楽天モバイルなどでも利用することができるようになります。また、このアップデートでは転倒検知機能も一緒に追加されています。
このことからも、GoogleはPixel Watchに力を入れているのがよくわかります。

なので今後さらなるアップデートの提供で機能の改善やさらなる新機能の追加に期待したいところです。それだけでなく、今回のPixel Watchの悪い点を踏まえて次のモデルではベゼルのスリム化や電池持ちの改善など、ハードウェア面での改善にも力を入れてほしいとも思います。